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SF小説のランキング本を立ち読みしたときに1位だったことからこの本に興味を持った。普段はSFというジャンルをあまり読まないけど、評価の高いものは読んでおこうと思って読み始めてみた。
SFにはとんと詳しくないので、「未来の世界」または「異世界」で、「宇宙」を舞台にした「異種族間の勢力争い」みたいな設定を想像してしまう。宇宙戦艦が出てきてワープしたり、対人戦では光線銃からレーザー発射して戦ったりして。だけど、この本の場合は「未来の世界」で一応「異種族間の勢力争い」ではあるけど、あくまで地球の、しかも日本のごく一部の地域に限られた話。しかも筑波山とか利根川とか、茨城出身の俺としてはなんか「茨城なんて田舎を舞台にしてくださるんですかははー」って、ちょっと感情の入り込みが5割増。
んなもんで、当然宇宙戦艦も光線銃も出てこないけど、そのかわりに出てくるのは、超能力人間によって構成される社会だ。それって「進化」なんじゃね?とおもいきや、そこにあるのは「進化した未来」ではなくて、完全に「荒廃した未来」。人口は、今の世界の2%以下になっている。東京の街は人以外の生物が巣食う廃墟だ。(しかもその「人以外の生物」の設定が半端ではない!)
そうなった原因となる歴史も、旧時代(つまり俺たちが生きる現代)の文化も完全に禁則事項のような扱いをされている。それは超能力者による社会、ともすれば一瞬で崩壊してしまいそうな危うい社会を存続させるため。
超能力ではなく「呪力」だし、真言(マントラ)とか寺とか出てくるし、変異した生物たちの名前も全て和名だし、SFという単語から想像される世界とはえらくかけ離れている。なんとも不思議な世界観が展開される。
そして終盤展開されるのは、人間の「奴隷」のように扱われている「バケネズミ」と人間との、世界の主導権を争う闘いだ。
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以下多少ネタバレ。
バケネズミである奇狼丸、スクィーラが、中盤では非常に小憎らしく、悪知恵ばかり働く畜生のように思えるが、結局のところ、この話は人間の存亡をかけた闘いであると同時に、奇狼丸の、バケネズミ奴隷解放をかけた闘いでもある。つまりは奇狼丸を主人公とした下克上の戦いとも読むことができる。そうすると、奇狼丸は人間にとっての「反逆者」でもありながら、バケネズミにとっての「英雄」でもあるのだ。
そして、死に際の奇狼丸の叫び。その後に語られるモノローグと相まって、それまでの人間VSバケネズミの構図が根底から覆される。そうすると、「人間が勝利して大団円」と本来なら落ち着くはずだった椅子が、途端に座り心地が悪くなる。
不思議な、作りこまれた世界観にのめり込み、熱い展開に引き込まれ、そしてその結末になんともいえぬ感情を抱かせられる。すごい小説だった。









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